ようこそ、みなさん。
はじめに
先日ご紹介した『太陽の振る舞い（Solar Behaviour）』の「第三部（の一部）だけ」がWebで公開されていますので、そちらを翻訳してご紹介したいと思います。
専門用語が多く、また「あまり馴染みのない知識」ばかりですので、なかなか理解するのが難しいのと「少々長く、また後半部がやたらと刺激的（ほぼオカルト）」なので、前後編に分けてお届けしたいと思います。
それでは早速。
太陽の振る舞いからの抜粋、第3章：地磁気活動と生物学的影響 - 前編
Solar Behavior by Sacha Dobler, New Book 2020
1.1 太陽活動と雷の頻度
雷は宇宙線によって誘発されることがありますが、太陽の周期全体では、全体的な雷の活動は太陽極小期では低くなります。しかし、太陽周期全体にわたって、全体的な雷活動は太陽極小期で低くなっています。
ドイツの雷検出システムBLIDSからのデータを用いて、Schlegelらは「雷の頻度とApとRとの有意な相関、および宇宙線フラックス（訳注：単位時間・単位面積・単位立体角あたりに. 物体を透過した宇宙線ミュー粒子の数）との有意な反相関」を得ています。[i]
1.2 太陽活動と地磁気活動
太陽活動指数はすべての地磁気指数と強い相関を示しています。太陽黒点数とKp-Index（Kp指数）の相関係数は0.83であり、太陽フレア(F10.7)と黒点数の相関係数も0.83である。(ii)
（訳注）
Kp-indexは、世界中の地上磁力計からの3時間の測定に基づく世界的な地磁気活動指数です。 各ステーションは緯度に従って較正され、磁力計の位置で測定された地磁気活動に応じて特定のKインデックスを報告します。 Kインデックス自体は、穏やかな日曲線と比較した、特定の場所と時間での地磁気活動の3時間の準対数ローカルインデックスです。 磁力計は、その位置での磁場の水平成分の最大偏差を測定し、これを報告します。 次に、グローバルKpインデックスは、すべてのステーションの報告されたK値をまとめるアルゴリズムを使用して決定されます。 Kp-indexの範囲は0から9で、値0は地磁気活動がほとんどないことを意味し、値9は極度の地磁気嵐を意味します。
https://www.spaceweatherlive.com/en/help/the-kp-index.html より
地磁気嵐の活動は、太陽の地球関係と宇宙天気の複雑な連鎖の中で最も重要な現象と考えられています。 「嵐は太陽風エネルギーによって引き起こされ、磁気圏によって捕獲され、高緯度電離層と大気に移動して散逸します。」 [iii]
したがって、全体として、月ごとの傾向では地磁気嵐は黒点の数と相関しています。
「地磁気活動、したがって地磁気ハザードは、通常、太陽黒点が最も多い太陽周期のピーク時に、より顕著になります。」 [iv]しかし、これらの太陽シュワーベ周期内には、地磁気嵐の不規則なクラスターがあり、最高濃度は必ずしもシュワーベ太陽極大期のまさにピークにあるとは限りません（図5を参照）。
太陽の黒点の出現数を数値化した黒点相対数が約11年周期で変化する現象。ドイツの天文学者ハインリッヒ＝シュワーベが発見。シュワーベサイクル。
「1830年から1930年までの100年間、月ごとの黒点数NsはGMAと高い相関がある。」黒点の活動は磁気擾乱の3.5日前にピークを迎える。[v]
「地磁気活動は太陽活動の急増時に最も急速に変動し、脳のリズムやホルモンレベルを変化させます。またはサイクルの下降部分（黒点が急速に減少しているとき）でも脳のリズムやホルモンレベルに影響を与えます。」 [vi]
図5 太陽周期と磁気嵐の頻度の関係。上の線は、太陽周期の指標となる平滑化された黒点数を示している。青色の棒は各年の暴風雨の回数を示している。期間(1865-2015年); 黒点数とKp-Indexの相関係数は0.83; 画像。英国地質調査所；太陽と地球のつながり。科学入門。宇宙天気と地磁気嵐。
http://www.geomag.bgs.ac.uk/research/space_weather/sci_intro.html
地磁気嵐活動は100年に一度の低水準にあり、戦争の世紀は私たちの背後に迫ってきているのでしょうか？
Ap-指数の平均が5を超えた2019年末から、Ap-指数は2020年上半期にさらに低下して平均4.7になりました。 [vii]
（訳注）
Ap-indexは、地磁気活動の1日平均レベルを提供します。 Kスケールと磁力計の変動は非線形の関係にあるため、一連のKインデックスの平均を取ることは意味がありません。 代わりに、3時間ごとのK値は、a-indexと呼ばれる線形スケールに変換されます。 1日の8つのa値の平均から、特定の日のApインデックスが得られます。 したがって、Ap指数は地磁気活動指数であり、地磁気活動のレベルが高い日は1日のAp値が高くなります。
https://www.spaceweatherlive.com/en/help/the-ap-index.htm より
図6 Ap-指数 1850-2020; 地磁気活動、特に地磁気嵐はグランドソーラーマキシマに多く見られる。地磁気活動、特に地磁気嵐は、攻撃的な行動（黒点活動よりも）と強く相関しており、限定的な程度ではあるが、自殺との相関もある。黒点数（灰色の点線）の記録は1610年まで遡るが、AP-指数（黒線）で表される地磁気活動の記録は1840年代以降のものしかない。地磁気活動は、戦乱の20世紀以前、つまり近代最大期以前のレベルまで急激に低下していることがわかります。 2010年までの太陽と地磁気データ。Matthes, Katja, et al.2017. CMIP6のための太陽強制力(v3.2). 地球科学モデル開発, 欧州地球科学連合, 2017, 10 (6), pp.2247-2302. 10.5194/gmd-10-2247-2017. insu-01618895
1.3 地磁気嵐活動と人類史
Kp-指数またはAp-指数（測定のさまざまなバリエーション）によって定量化できる地磁気嵐の進行を詳しく見てみましょう。地磁気嵐は、太陽風から地球を取り巻く宇宙環境への非常に効率的なエネルギー交換があるときに発生する、地球の磁気圏の主要な擾乱であることを思い出してください。これらの嵐は、地球の磁気圏の電流、プラズマ、および磁場に大きな変化をもたらす太陽風の変動に起因します。地磁気嵐の発生に効果的な太陽風の状態は、高速太陽風の期間中（数時間から数日）持続し、最も重要なのは、南向きの太陽風磁場（地球の磁場の方向と反対）で 磁気圏の昼間です。この条件は、太陽風から地球の磁気圏にエネルギーを伝達するのに効果的です。 [viii]
地球上のすべての生物学的システムは、広範囲の周波数の変動する目に見えない磁場のこの外部および内部環境にさらされています。 多数の生理学的リズムが太陽および地磁気活動と同期していることが示されています。 [ix]
1930年代以前のKp-指数は直接測定されていませんが、1610年[x]までのAE-指数の再構成プロットがあります（Ap-指数は図6参照）。地磁気嵐が太陽最大期に多く発生することは、オーロラ活動の再構成によっても裏付けられています。この10年間で、地磁気活動は1900年の水準にまで低下しており、黒点数の減少よりもはるかに進んでいます（図6参照）。
（訳注）
オーロラエレクトロジェットインデックス（AE）は、オーロラ楕円の下および内部を流れる電離層電流の増加によって生成されるオーロラゾーンの磁気活動のグローバルで定量的な測定値を提供するように設計されています。 理想的には、それはオーロラの楕円の周りの水平磁場（h）の静かな日の値からのある瞬間の偏差の全範囲です。 Davis and Sugiura [1966]によって定義および開発されたAEは、サブストームの形態、通信衛星の挙動、電波伝搬、電波シンチレーション、および惑星間磁場間の結合の研究における相関指標として、定性的および定量的に有用に使用されてきました。 そして地球の磁気圏。 これらのさまざまな用途で、AEは他の地磁気指標よりも優れているか、少なくともそれらの有利な特性を共有しています。
連邦準備銀行が発表した分析によると、1週間の「嵐のような」地磁気活動は、すべての米国市場指数において、翌週のマイナスの株式リターンにつながると結論づけている。[xi]
KrivelyovaとRobottiは、彼らの論文「フィールドでのプレー：地磁気嵐と国際株式市場（Playing the field: Geomagnetic storms and international stock markets）」で、NASDAQの1972年から2000年までの地磁気嵐の影響を受けた日と通常の日との間の年間収益率の平均に14％の違いがあることを発見しました。 Basile Despondは、同じ期間に15.13％の違いを見つけました。 2001年から2016年の場合、-7.94％の差が見られ、A。Krivelyova、2003年に作成された仮説と矛盾します。[xii]
つまり、関係性は千年紀の変わり目あたりで "反転 "したように見えるのです。
Pengら（2019）は、市場の流動性が株式市場への地磁気の影響と正の関係にあることを確認しました。これは、Krivelyova＆Robotti（2003）と一致しています。Shu（2010）は、株価と手形価格の両方が投資家の気分と正の相関関係にあり、資産価格の上昇は気分の改善に関連し、逆に、期待される資産収益は投資家の気分と負の相関関係があることを示しました。「これらの調査結果は、投資家の気分が均衡資産価格とリターンの重要な要因であることを示唆しています。」 [xiii]
さらに、50年間の観測の間、エホバの証人のメンバーは、高い地磁気活動の間、著しく活発でした。 [xiv]
太陽活動によって引き起こされる地磁気擾乱は、263の米国の都市で総死亡リスクと心血管死亡リスクを高めました。 [xv]
さらに以下では、高い太陽活動と高い地磁気活動で生まれた人々が、精神疾患、不安、および寿命の短縮の発生を増加させていることを示します。 （29ページ参照）。
過去44年間の黒点カウントが世界の4つの主要な財務指標（S＆P、FTSE、日経、HIS）に与える影響は、「日々の時系列分析においても非常に重要です。」[xvi]
1.4 地磁気嵐と健康への悪影響
2018年の研究で、Alabdulgaderらは、地磁気や太陽活動、地磁気嵐と同様に、地磁気や太陽活動の急激なまたは突然の変動は、メラトニン/セロトニンのバランス、血圧、呼吸、生殖、免疫、神経、心臓系のプロセスなどの調節プロセスを変化させるストレッサーとして作用する可能性があることをシュールに推測した。
「地磁気障害は、うつ病、精神障害、精神科入院、自殺未遂、殺人、交通事故による入院の大幅な増加に関連しています。」 [xvii]
地磁気に関する最近の研究の結果は、健康な人間が自然条件またはシミュレートされた条件の両方で高レベルのGMF（地磁気）にさらされた場合のストレス反応として、人間の自律神経系（ANS）の強化を示しました。 [xviii]
地磁気の乱れと労働・交通事故の増加との関連性についての知識は、1950年代にさかのぼる。（Reiter, 1955）。インドでは、1989年から2010年までの間、交通事故は太陽・地磁気活動パラメータだけでなく、宇宙線強度とも関連していた。[xix]
Srivastavaら（1980）は、航空事故の76％が地磁気脈動活動が強化されている間に発生していることを発見した。[xx]
乳幼児突然死症候群と世界的な地磁気活動の増加との間に強い関連性が見出された。[xi]
地磁気嵐は、「脱力感、倦怠感、不特定の局所頭痛、運動機能の不規則性、不均衡、心臓梗塞、発作状況、精神障害」などのさらなる悪影響を引き起こす可能性があります。[xxii]
地磁気的に静かな日には、心拍数と宇宙線強度の変動は正の相関関係にあります。 [xxiii]
磁気嵐の間、心臓リズムのHF（高周波）バンドとLF（低周波）バンドの両方が減少することを思い出してください。 高周波心臓リズムの活動の低下は、思考、感情、行動を自己調整する能力の低下に関連しています。これは、地磁気嵐が心臓リズムの変動を介して自己調節する能力の低下に関連していることを外挿によって意味します。 [xxiv]
2020年の研究では、磁気嵐の非特異的影響が、局所的な地磁気の増強または弱化の期間に関連していることが示されました[周波数範囲10-4-10-5Hz]）。 「この範囲では、特に夜間に、地磁気擾乱のパワースペクトル密度は、都市の磁場のパワー密度に匹敵し、それを超えることさえあります。」 [xxv]
出生時の太陽と地磁気の状態は人生の結果に影響を与えます
出生前日に地磁気活動が活発な10代の女性の「状態」不安の増加。
13〜16歳の学生のサンプルに、「状態」と「特性」の不安を測定するように設計されたアンケートを実施し、このアンケートのスコアを11日間の毎日の地磁気活動測定値（Ap指数）と相関させました。 各科目の生年月日を中心に。 女性は、出生前日の「状態」不安と地磁気活動の間に有意な正の相関を示しました。 [xxvi]
太陽極大期の出生は、人生における精神疾患の発生率が高いことを予測しています。
いくつかの研究は、太陽周期、特にカオス太陽周期（CSC）の放射ピークが、精神障害の発生率の上昇と関連していることを示しています。 さらに、出生時の高い太陽活動と地磁気活動は、寿命が短く、生涯を通じて精神疾患の発生率が高いことに関連しています。
この研究のためのデータは、米国メイン州のメディケイドデータベースから収集され、7つの太陽周期を含む過去71年間の太陽周期日射量に関連していた。
結果は、太陽周期、特に[誕生時の]カオス太陽周期（CSC）の放射線ピークが、精神障害の発生率の上昇と関連していることを示しています。 [xxvii]
太陽極小期で生まれた人々は、太陽極大期で生まれた人々よりも長生きします。
1676年から1878年までのノルウェーの人口統計データを黒点数と比較すると、出生時の太陽活動（総日射量）が男性と女性の両方の成人期までの生存確率を低下させることが示されました。
平均して、太陽極大期に生まれた人の寿命は、太陽極小期に生まれた人よりも5.2年短かった。さらに、太陽活動の高い年に生まれた低ステータスの女性では、受胎可能性と生涯生殖成功率（LRS）が低下した。 [xxviii]
著者らは、太陽極大期に生まれた人々の寿命が短くなったのは、紫外線の増加によるものだと考えています。北ヨーロッパの妊婦は平均して日光への露出に非常に注意を払っており、新生児を直射日光にさらさないため、UVRの直接的な影響は宇宙天気に関連するいくつかの原因の1つにすぎないことをお勧めします。さらに、TSIとしてのUVRは、太陽極小期から最大値までわずかにしか変動しません。主な原因は、太陽と地磁気の活動の共効果として、電場と磁場の変化と宇宙線粒子フラックスに探求されなければなりません。
2018年の調査では、米国全体で同様の結果が明らかになりました。つまり、「出生時の太陽エネルギーの増加は、人間の寿命に悪影響を及ぼした」ということです。 出生時の太陽エネルギーの増加は、人間の寿命を平均8年短縮します。
出生時のより高い太陽エネルギーの影響は、生殖の年齢の後にさらに明白になります。 さらに、多発性硬化症の人は、太陽エネルギーが低い時期よりも太陽エネルギーが多い時期に2倍多く生まれることがわかった。 [xxix]
誕生の季節でさえ、人生の結果に影響を与えます。 Ronald Kayは、統合失調症と診断された人のうち、北半球のほとんどのサンプルで、冬生まれと春生まれのパターンが過剰であることを明らかにしたが、赤道や南半球のサンプルではその変動がないか、あるいは少ない。
これらの所見は、Kay氏の主要な仮説（妊娠2ヶ月から7ヶ月の間の子宮内脳の発達の重要な時期における地磁気嵐（GMS）の結果として主に地球の地磁気場の季節的変動が、後の統合失調症の発症率に影響を与える可能性があるというもの）と一致していることが示唆された。[xxx]
科学者たちは、双極性障害でも同じように、冬や春先の誕生日の方が影響を受けることを発見しました。[xxxi]
食事と健康は、地磁気の力を打ち消し、紛争を回避するのに役立つ可能性があります。
S. Zadehらは、太陽活動などの地磁気が社会不安を予測していると推測しました。
著者らは、「テロリズムと戦争は、宇宙天気、栄養、そして私たちの体の生物学的システムに共通のルーツを持つ、精神的および精神的な健康状態の悪さの現れである」と主張しています。
「恐らくテロリズムにまで及ぶ社会政治的混乱は、食事、身体的および精神的活動、タバコおよびアルコール消費を含む社会環境的要因によって伝播される蔓延する病気の予防に休息を求めるべきです。食事を通して組織、オメガ3や6の脂肪酸のバランスを取り直すことは、瞑想、プラーナヤーマ（訳注：ヨガの呼吸法の一種）、ヨガサン（yogasan）の定期的な実践と組み合わせて、体と心に影響を与える慢性的な健康障害に対する抵抗力を改善します。」 「[xxxii]
（翻訳ここまで）
最後に
いかがでしたでしょうか？
ここまでの内容は「体感的に理解するのは難しい」かもしれませんが、それでも「まだ知識的に理解できる（「常識」より少し大きな範囲内の）内容」です。
「人間には『地磁気を感じる能力』が備わっており、それが『第六感』かもしれない」という話題も過去にはニュースなどになりました。
個人的には、このニュースに触れた時には「人間も動物なんだから、基本的にはだいぶ衰えてるとは言えども、こういう能力あるっしょ」ぐらいに思いました（鳥とか見てたらね）し、また「これで『幽霊が見える人』とか、だいぶ理解されるようになるかもね」とも思いました。
※ 「視える人には視える」ので、「いる」とも言える「現象学として」語られるべきものかと。
後半は更に「ぶっ飛んだ内容（理論）」とでも言うべき領域に突入しますので、楽しみにしてくださる方は楽しみにしてお待ちください（笑）
また。
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※ 私の大好きなRadioSlaveというアーティストがRemixしたNorah Jonesの『Sunrise』でも。最高にチルでcalmだと思います。
