みなさん、ようこそ。
本日は「ティモシー・リアリー」の人生とその文化的影響について、さらに深く掘り下げてみたいと思います。
前回はコチラ
生い立ち
1920年10月22日、マサチューセッツ州に生まれたティモシー・リアリー(以下、ティモちゃん)は「頭脳明晰だけど、反抗精神に溢れるちょっぴり困ったちゃん」として育ったようです。
イエズス会系の神学校(ホーリークロス大学)で二年学び、その後ウエストポイント陸軍士官学校に入学しましたが、ここでも上官に逆らったことが原因で組織的な無視を受け学校を去る事になります。
その後、叔父の説得を受けアラバマ大学の心理学部に学びますが、今度はガールフレンドの女子寮に忍び込み、今度は退学になります。
その後なんやかんやあり、ワシントン州立大学で心理学の修士号を取り、さらにバークレー大学の心理学博士の過程に入学。(この頃にマリアンヌという女性と結婚しますが、彼女は後にティモちゃんが不倫したので自ら命を絶つ事になってしまいました。)
そしてカイザー基金病院の心理学研究所理事長という地位を捨て、ヨーロッパを放浪する事になります。
※元祖ヒッピーというか、当時は「ビート族」ですかね?
ここまでの私の感想:
とにかく頭のいい問題児ほど厄介なもんはない。
(閑話休題)
ビート・ジェネレーションを代表する作品と言えば
アレン・ギンズバーグ / 「吠える」
ウィリアム・バロウズ / 「裸のランチ」
ジャック・ケルアック / 「路上」
などなど
※どれも面白いです。
ハーバード大学時代
1959年イタリアにて、バークレー時代の友人「フランク・バロン(創造性心理学の権威)が「マジック・マッシュルームを食べて神秘体験をしたんだよ!」という話をティモちゃんにするも、ティモちゃんは「なんじゃそりゃ?」状態だったそうです。
Psilocybe semilanceataは、リバティー・キャップとも呼ばれ、形状がフランス革命の自由の帽子に似ていることが由来。
※ふ〜ん?フランス革命の自由の帽子ねぇ?(意味深)
また、バロンは「心理学シンクタンクであるハーバード人格研究センター所長のマクリーランドがイタリアにいるので、なんか仕事紹介してくれるかもよ?」と、ティモちゃんに教えてくれたのでした。
マクリーランドに「患者をあるがままに扱うことで対話的な行動変容を促す」という話をしたところ、当時「アブラハム・マズロー(「マズローの欲求五段階説」の人)」なども同じような先端研究を行っているということでハーバード大学に教職を得ました。
※その後、フランク・バロンもティモちゃんの紹介でハーバードに教職を得ています。ちゃっかりしてやがる。
1960年夏のこと、「ゲルハート・ブラウン(メキシコ大学文化人類学者)」に「マッシュルーム試してみない?」と持ちかけられたティモちゃん。
※「夏」に何かは起こるのか?「サマーオブラブ」
実際に試してみたところ、「生物の進化の過程を追体験したり、古代文明の様々な場所を旅したり」するという「幻覚体験」を味わうことになります。
これまで「行動変容を促す鍵となるのは自己洞察である。」と考えていたティモちゃんでしたが、キノコに一発で持って行かれた経験から「自己の殻を破り、解放をもたらすにはドラッグだ!」と、「意識が拡張される脳の回路の仕組み」「その拡張をもたらす薬、そしてそのその意義」「その感覚を再現できる仕組み(フラッシュバック)」の研究を進めることになります。
当時「アルバート・ホフマン博士(サイケデリック界隈の神的人物)」によってキノコから「シロシビン(幻覚成分)」が合成されており、それを入手したティモちゃんと「オルダス・ハクスリー(こちらも超重要人物)」によって「脳に関する研究」が開始されます。
ハクスリーは「ティモちゃん、これは『聖書』にある『禁断の実』だ。『意識の管理者』が邪魔してくるだろうから、ゆっくり研究するんだよ。」と忠告したそうです。
※「意識の管理者=ヤハウェ」と考えると、ハクスリーの立場は「人間に知恵を与えた存在」を崇拝している立場なわけです。いずれにせよ「キリスト教文化圏のお話」ですが。実に「宗教的な会話」ですね、いろんな意味で。
また同年12月、「アレン・ギンズバーグ」が「意識改革について学んできたから、キミの研究の内容を教えてくれよ!」とティモちゃんを訪ねてきて、二人は一緒に「シロシビンをキメて平和な世界を創るために意識訓練センターを作ろうぜ!」と考え、この計画はのちに実践されていくことになるのでした。
アルバート・ホフマン / LSD - プロブレムチャイルド&ワンダードラッグ
※ホフマン博士に関するドキュメンタリー
オルダス・ハクスリー / 「永遠の哲学 - 究極のリアリティ」
※全ての宗教に共通する「メタ宗教」としての「哲学」に関する著書
ティモちゃんは「ドラッグは神経細胞を刺激し、価値観をなんでも刷り込む事ができるので、自分のなりたい人間になれるよう制御すべきだ。」とも「人間の行動は文化に依存したゲームであり、家族ゲームや国家ゲーム、ひいては『自分』というゲームをプレイしているにすぎない。このゲームを断ち切る最も有効な方法は『悟り』を誘発するドラッグである!」と発表しています。
※個人的には「悟り」を勘違いしちゃったのが、その後に続く混乱の原因なんだと思います。幻覚体験は仏教で言うところの「魔境」であり、それは斬って捨てるものと教えられます。
1962年春、LSDの過剰摂取で神秘主義者となっていた医師「マイケル・ホリングスヘッド」がティモちゃんを訪ね、「シロシビン?LSDに比べたら大した事ないから!」とバカにしてきたので、LSDの兵器利用を危惧していたティモちゃんでしたが「じゃあやってやらぁ!」と試してみることとなります。
その体験の中で「全ては意識が創り出したものにしかすぎない。」と「悟らされた」といいます。
※ある意味でそれは真実だと思います。「私たちの内的宇宙」は「言葉」で覚醒しました。そして「言葉」が「私」という「内的宇宙を創り出していること」に「気付いただけ」だと思います。「悟り」については、また詳しく。
ティモちゃんは研究にLSDを持ち込むようになりますが、ケルマン教授などの一部の教授からの「LSDは危険だ!」とする反対の声が上がり、衝突を避けるためにアンドリュー・メロン家の女性資産家「ペギー」の出資を受け、メキシコの「ジワタネホ」と言う場所でサマーキャンプを開催することとなります。
※ちなみに、映画「ショーシャンクの空」のラストシーンの舞台も「ジワタネホ」
この頃ティモちゃんは麻薬取締局から派遣された検察官と知り合い、その男から「CIAが極秘でLSDを使った洗脳の研究を行なっている。」という情報を教えてもらいます。これが現在では「MKウルトラ計画」として知られているプロジェクトなのでした。
※ティモちゃんの研究に反対していた「ケルマン教授」は、MKウルトラ計画のためのフロント企業から助成金を受けていたらしいです。コイツ...
(MKウルトラについての資料として)
ハービー・M・ワインス / 「CIA洗脳実験室 - 父は人体実験の犠牲になった」
※Dr.苫米地!笑
同年夏、メキシコのサマーキャンプではオリジナルの「チベット死者の書」を英訳したものをマニュアルとして使用していましたが、この本が「LSD体験を正確に描写した本である」ことがわかったとされます。
※まぁそりゃそうでしょう。長い時間をかけてナチュラルに脳内物質を分泌させる技法の集大成である「チベット死者の書」な訳ですから。
(閑話休題)
「チベット死者の書」自体が、遥かなる人類の叡智の結晶のようなモノです。
※「ジブリ学術ライブラリー」?流石に知らなかった!
宮崎作品に込められたメッセージもそのうちやります。
※「死者の書」繋がりでコチラも
私の尊敬する「知の巨人」である松岡正剛氏曰く
珠玉の一冊であるというには、この作品がひたすら凝縮されたものだということがなければならない。長大なものではなく、織りこまれた一片の布切れのようでありながら、そこからは尽きぬ物語の真髄が山水絵巻のごとくにいくらも流出してくるということである。
ついで、この作品が日本の近代文学史上の最高成果に値する位置に輝いていることを言わねばならない。この一作だけをもってしても折口の名は永遠であってよい。したがって、ここには主題から文体におよぶ文芸作品が孕む本格的な議論のすべてを通過しうる装置が周到に準備されているということである。
さて、話を戻しまして。
ティモちゃんはその後ハーバードを離れることにし、「精神的自由のための国際財団」(IFIF:International Foundation for Internal Freedom) を設立し、文化によって習得した精神からの自由を訴えて行くことになります。
この時点でティモちゃんは「武器商人や第三次世界大戦を画策しようとする者による歴史の流れを変革しようとしていた」と確信していたとされます。
ここまでの私の感想:
ティモちゃん、根は良い奴だよね。わかるぅ、その気持ち。
ここまでで、だいたい半分ほどになります。
時代はまだ「サマーオブラブ」前夜。
ここからさらに時代は加速して行くのですが、それは次回に。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
また。
Twitterはじめました。
よろしければフォローお願いします。