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「科学的独裁制」の時代 - ハクスリーの「究極の革命」補習その1

Hatena Feedly

 

ようこそ、みなさん。

 

本日は、先日ご紹介したハクスリーさんの「究極の革命に関する講演」を私なりに紐解いてみたいと思います。

※ 長くなるので前編・後編に分割します。

kazzhirock.hatenablog.jp

ja.wikipedia.org

f:id:kazzhirock:20200815162025j:plain

 

あれから75年が過ぎ去りましたが、私は「国家」という概念よりも抽象度の高いところに「科学」と「宗教(または宗教心)」が存在していると考えています。

 

その理由は「国家を運営する」上で、今日的な土台をなしているのは大きく分けて「科学」と「宗教」であると考えるからです。

 

国民が一人もいない「国家」はないでしょうし、その人間の土台にあるのは「科学」と「宗教」ではないのでしょうか?

 

私なりの言い方をしますと、人間が「外宇宙の頼る処としているのが科学」であり「内宇宙の頼る処としているのが宗教」であると考えるからです。

 

そういう意味でも、日本国の歴史を振り返るべき日である今日ですが、敢えて「国家よりも上位概念」であろうと思う「科学」と「宗教」という枠組みを考えてみたいと思います。

 

長くなりそうなので、前置きはこれぐらいにしまして。

 

A Brave New World(すばらしい新世界)』の序文で、オルダス・ハクスリーは、私たちの世界の少数派の利益が、商業や政治の利益のために大衆の人間の心を意図的かつ成功裏に搾取していると警告しています。

 

「この非人間的な押し付けは、少数派の利益のために、大衆の思考や感情を操作するためのいくつかの新しい技術を開発した商業的・政治的組織の代表者によって、意識的に加速されている。」 - オルダス・ハクスリーすばらしい新世界』序文

 

大衆操作の心理学:「自粛警察」の裏側にある人間の心理 - それは「より強固な警察国家」を作り上げることに繋がるのだろうか? - あなたがあなたの救世主

 

「少数派の利益が、商業や政治の利益のために大衆の人間の心を意図的かつ成功裏に搾取していると警告しています。」と、この筆者は捉えていますし、昨日ご紹介した講演内容を読まれた方も、多くは「ハクスリーは確かに警告しているんだ」と感じられたかもしれません。

 

私は、そう単純なものではないと思います。

 

何故か?

 

フェビアン協会」の話はまた詳しくする予定ですが、彼と「フェビアン協会」の関係であるとかを鑑みるに、ハクスリーという人物が単純に「人類の行く末を懸念していた」だけではないと考えるからです。

 

講演内容を「意地悪な目線で」見ていくだけも、ある程度「裏の意図」や「含まれた意図」が読めてくるように思います。

 

それでは見ていきましょう。

 

あー、まず最初に言いたいのは,サンタバーバラでの会議は、心のコントロールには直接関係しておりませんでした。あれは会議で、今までにサンフランシスコのカリフォルニア大学医療センターで2回開催されましたが、今年は私は参加いたしませんでした。サンタバーバラでは、技術一般と、それが社会に与える影響と、未開発国への技術移植の問題について話しをしておりました。

「究極の革命」とはどのようなものだろうか? - 1962年のオルダス・ハクスリーの重要な講演内容を読む - あなたがあなたの救世主

 

未開発国への技術移植」とは?

 

当然「心のコントロール」に関する技術でしょうね。

 

ちなみに、このころの「中国」は彼らの言う「未開発国」に当たりますね?

 

さて、この「究極の革命」の問題に関しては、司会者の方が非常によくまとめてくださいました。過去には、すべての革命は、個人を変えるために環境を変えることを目的としてきました。政治革命、経済革命、改革の時代には宗教革命がありました。これらは全て、人間に直接ではなく、人間を取り巻く環境に向けたものでした。環境を修正することで、人間の影響を取り除くことができたのですね。

「究極の革命」とはどのようなものだろうか? - 1962年のオルダス・ハクスリーの重要な講演内容を読む - あなたがあなたの救世主

 

確かに、政治・経済・宗教などは「人間を取り巻く技術」ではあるでしょう。

 

宗教心自体」は人間の「内宇宙」に存在するものですが、「宗教(教団)」というのは「システム」であり、それは人間の「外宇宙」に存在していると言えるのだと思います。

 

 今日、私たちは「究極の革命」または「最終革命」と呼ばれるものの接近に直面しているのだと思われます。人間の心の身体に直接作用することができるようになります。言うまでもなく、人間の心の身体に直接作用することは、有史以来続いております。しかし、これは一般的に暴力的な性質を持っております。テロリズムの技術は、太古の昔から知られており、人々は、多かれ少なかれ工夫を凝らして、時には最大の残酷さで、時には試行錯誤の過程で、拷問、投獄、様々な種類の制約を使用する最善の方法を見つけることによって得られた多くの技術で、それらを採用してきました。

「究極の革命」とはどのようなものだろうか? - 1962年のオルダス・ハクスリーの重要な講演内容を読む - あなたがあなたの救世主

 

内宇宙」に直接働きかけようとする試みは有史以来続いている。

 

拷問などは一見すると「肉体的な痛み」を与えることが目的のようですが、結局のところ「痛みがまたくるかもしれない恐怖」を与えることが目的です。

 

古典的な拷問に関してはコチラの記事に詳しいので、そのうちすべて訳してご紹介したいと思いますが

 

中国の水責めは、拷問の最も身近な形態の一つです。このタイプの心理的な拷問は、拘束された個人の頭の上に繰り返し落ちる水の単一の滴で実施されます。

 

水は物理的に人に触れていますが、水滴は物理的に人を傷つけないので、これはまだ心理的な拷問方法と考えられています。代わりに、一定の水滴が容赦ない力となり、心を彷徨わせ、大量の精神的な苦痛を誘発します。 

www.therichest.com より

 

このような拷問方法も存在しています。

 

 しかし、私が何年も前に申し上げたように、あなた方は彼らの上に座ること以外は何でもできるのです。もしあなたがどのような人口をどのような期間でもコントロールしようとしているのであれば、ある程度の同意を得なければなりませんが、純粋なテロリズムがどのようにして無期限に機能するのかを見るのは非常に困難です。それはかなり長い間機能することができますが、遅かれ早かれ、説得の要素を持ち込まなければならないと思います......人々に起こっていることに同意してもらうための要素です。

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そう。

 

長く大衆を支配するためには「合意が必要」なのです。

 

それも本人たちが「合意したことにすら気がつかないような」合意です。

 

本来であれば「合意する必要もないシステム」に「隷属」させておく必要があるのです。

 

 今、私たちが直面している「究極の革命」の本質は、まさにこれだと思います。私たちは、常に存在してきた支配的な寡頭制を可能にする一連の技術を開発している最中であり、おそらく今後も常に存在するでありましょう、人々に隷属を愛するようにさせるために。 これは、悪意に満ちた革命の究極的なものであり、私が長年興味を持ってきた問題であります。私が30年前に書いた寓話「ブレイブニューワールド(すばらしい新世界)」は、まず第一に、人口を標準化し、不便な人間の違いを解消するために、利用可能なすべての装置と、それらを利用することが可能であると私が想像した装置のいくつかを利用している社会についての説明であります。科学的なカースト制度のようなもので、大量生産された人間の模型を作ること。それ以来、私はこの問題に非常に興味を持ち続けており、30年前に私が予測したときには純粋に幻想的だった予測が現在では現実になったり、現実になろうとしていることに愕然とすることが多くなってまいりした。

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 「利用可能なすべての装置」と「今後登場するであろう技術」を利用し、「標準化された人間」を量産することで、ある意味での「平和」が到来するでしょう。

 

ある一定の人々にとっての平和」でしょうが、それは。

 

ハクスリーは本当に「愕然と」しているのでしょうか?

 

私が話したいくつかのテクニックはすでにここにあるように見受けられるのです。そして、この種の「究極の革命」の方向への一般的な動きがあるように思われます。それは、人々が彼らが享受してはならないまともな基準を享受できる状態を享受させる制御方法です。これは、隷属の楽しみです。このプロセスは、私が言うように、何年も前から続いていて、私は何が起こっているのかにますます興味を抱くようになってまいりました。

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むしろ、ハクスリーは「隷属を推進する側」にいるようにも思えます。

※ 「フェビアン協会の理念」を考えるに。

 

 ここで、「すばらしい新世界」の寓話と、ジョージ・オーウェルの著書「1984」の中で発表されたもう一つの最新の寓話を簡単に比較してみたいと思います。オーウェルが彼の本を書いたのは1945年から1948年の間で、スターリン主義テロ政権がまだ全盛で、ヒトラー主義テロ政権が崩壊した直後でした。そして、私が非常に賞賛する彼の本は、非常に優れた才能と並外れた創意工夫の本であり、いわば、直近の過去の未来、彼にとって何が直近の過去だったか、そして今の瞬間の未来への予測を示しています。 テロと完全に個人の心身への暴力的な攻撃によって完全に支配された社会の未来への予測でした。

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NWO」について語られるときに引き合いに出されるのが「ビッグ・ブラザー」という言葉です。

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支配者からの攻撃によって支配された社会」であり、このような状態を「新世界秩序に支配された人類の状態」と想定することが一般的でしょう。

 

むしろ、陰謀論界隈ではそのように想定させるように「誤った誘導がなされている」とも考えられます。

一九八四年 (ハヤカワepi文庫)

 

1932年に書かれた私自身の本は、ムッソリーニのような軽度の独裁政権が存在していた頃に書かれたものですが、テロリズムの考えに影を落とされることはありませんでした。そのため、オーウェルが自由ではなかった方法で、他の支配方法、非暴力的な方法、そして私の、将来の科学的な独裁について考えることができました。世界の多くの地域で科学的独裁者が出てくると思いますが、「1984」のパターンよりも、おそらく「すばらしい新世界」のパターンに近いものになるでしょう。彼らは、科学的独裁者の人道的な問題ではなく、BNW(すばらしい新世界)パターンが他のパターンよりも効率的だからです。

「究極の革命」とはどのようなものだろうか? - 1962年のオルダス・ハクスリーの重要な講演内容を読む - あなたがあなたの救世主

 

1984」パターンによる支配よりも「すばらしい新世界」パターンの方が「より効果的」なのです。

 

何故か?

 

自分たちが支配されていること」にさえ気付かないからです。

 

なんなら「支配」という概念すらも消えている社会かもしれません。

 

人々が生きている状態に同意することができれば、隷属状態.........存在している状態.........彼らの相違点を解決し、社会レベルで大量生産方法に従順にさせることができれば、それができれば、はるかに安定した永続的な社会を手に入れることができるでしょう。クラブに完全に依存し、分隊強制収容所を解雇する場合よりもはるかに簡単に制御可能な社会です。ですから、私自身の感覚では、「1984」の青写真は、もちろん、オーウェルが生きていた目の前の過去と現在によって彩られていますが、この数年間の過去と現在は、これから起こるであろうことの傾向を反映していないように感じています。言うまでもなく、私たちは決してテロリズムを取り除かないものとします。それは、常に表面化します。

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私たちは決してテロリズムを取り除かない

 

私たち」って?

 

常に表面化する」から、みんなの目がそっちに行ってる間に「見えないとこ」で事態を進行させたい人たちのことではないでしょうか?

 

私たち」というのは。

 

つまり「すばらしい新世界パターン」を進めたい人たちのこと。

 

しかし、独裁者がどんどん科学的になっていく限り、技術的に完璧で完璧に運営されている社会に関心を持つようになるのではないでしょうか。彼らは、BNWで私が既存の現実から想像し説明したような技術に、ますます興味を持つようになるでしょう。このように「究極の革命」は、それほど遠くないように思えます。この種の支配をもたらすためのいくつかの技術は、すでにここにあり、それが、いつ、どこで、誰によって、最初に大規模に適用されるかどうかは、見ものであります。

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見ものではあります」ですって?

 

そのような状態を真に懸念する人間が発する言葉でしょうか?

 

知的な人間なりのシニカルな皮肉なのでしょうか?

 

まず最初に、テロの技術の向上について少しお話ししましょう。改善されたように見受けられます。結局のところ、パブロフは動物と人間の両方について非常に深い観察をしました。そしてとりわけ、心理的または肉体的ストレスのいずれかの状態にある動物または人間に適用されたコンディショニング技術が、いわば、生き物の心身に非常に深く沈み込み、取り除くのが非常に困難であることがわかりました。他の形の条件付けよりも、より深く埋め込まれているように見えたのです。

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現在進行形の「コロナ禍」がまさにコレに当たると感じます。

 

ある一定人々(20%の人々)には「ニューノーマル」な生活形態は染み込むでしょうし、残りの人々(60%程度の人々)には「仕方ないかぁ」程度の認識ではありますが、浸透していきます。

 

そして、もちろん、この事実は過去に経験的に発見されたものです。人々はこれらの技術の多くを利用していましたが、昔の経験的な直感的な方法と私たち自身の方法の違いは、ある種のヒットアンドミスの職人的な視点と、純粋に科学的な視点の違いです。私たちと16世紀の奉行との間には、本当の違いがあると思います。私たちは、彼らが知っていたよりもはるかに正確に何をしているかを知っていますし、理論的な知識があるので、私たちがやっていることをより広い範囲に広げることができます。

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現代の科学者たち」は「古代の魔術師たち」よりも圧倒的な知識を有しているので、より「多くの人々を支配することが可能である」と言っています。

 

ハクスリーはもちろん「科学者側」の人間ですし、正直なところ「魔術と科学の根っこは一緒」だとも言えます。

 

共に「見えない世界を見ようとした人々」だからです。

 

見えるようになってきた側を「科学」と呼び、まだ見えない(敢えて見せない)側は「魔術」や「オカルト」と呼ばれたままです。

 

 この文脈では、ウィリアム博士の『心の戦い』の中の非常に興味深い章に言及したい。ウィリアムは、過去の偉大な宗教的な教師/指導者たちがいかに直感的にパブロフ的な方法をとっていたかを指摘しています。彼は、地獄の火について話すことによって、心理的ストレスを極限まで高め、暗示に対して人々を非常に脆弱にし、その後、突然、天国の希望を提供することによって、このストレスを解放するという技術に本質的に基づいていた転換を生産するウェスリーの方法について具体的に語っていますが、これは、ウェスリーがそうであったように、熟練した自然心理学者がどのように純粋に直感的かつ経験的な根拠に完全に基づいて、これらのパブロフの方法を発見することができたかを示す非常に興味深い章です。

「究極の革命」とはどのようなものだろうか? - 1962年のオルダス・ハクスリーの重要な講演内容を読む - あなたがあなたの救世主

 

宗教儀式」というのは、パブロフが発見したような「条件付け」が満載です。

 

緊張と緩和、束縛と解放。

 

宗教」にせよ「科学」にせよ、ターゲットにしているのは究極的には「人間の心」なのです。

 

申し上げたように、なぜ、この手法が有効であったのか 理由が分かりましたし、その気になれば、過去に可能であった以上のことが可能であることに疑いの余地はありません。もちろん、最近の洗脳の歴史を見ても、中国の捕虜や共産党の下層部に適用されたパブロフ的な方法がこれらの手法の適用によって、完全に献身的な人民による非常に巨大な軍隊を形成する要因となったのは疑いの余地がないと思われます。条件付けは、いわば、一種の心理的イオン導入によって、人々の心の奥底にまで追い込まれ、根絶することが非常に困難なほどに深くなっているのです。

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中国共産党による成果」について語られていますが、そもそも「そのテクニックを中国共産党に教えたのは誰か?」という問題が存在しています。

 

それも「古代より続く知識よりも、より効果的な科学的知識」をです。

 

 

さて。

 

ここまでは「テロの技術」に関してです。

 

ハクスリーはここから先で「テロリズム技術」に関して説明しています。

 

それは、現代において「大衆が気付かずに受けている攻撃」のようなものに関しての説明になります。

 

言うなれば「1984的な世界がやってくる」と勘違いさせられたまま、水面下で行われている「すばらしい新世界的な世界への準備」のようなものです。

 

明日はその内容について深掘りしてみたいと思います。

 

 

また。

 

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