ようこそ、みなさん。
本日は「抽象度」と言う考え方のお話をさせていただこうと思います。
と思っていたのですが...
書きながら途中で気付きました。
「こりゃ、とんでもなく長くなる」と。
とうわけで「噺の枕」として書いていた部分だけ公開させていただくことにしました。
そもそもの「抽象」ってどんなもんかを体感していただいてから。
※ 「抽象主義」の大スター、ジャクソン・ポロックさんとその作品。
「抽象」って?
最初に辞書を見てみたいと思います。
言葉は「あなたの内宇宙を規定するコード」です。
抽象
経験されたもののなかのある特性に注目してこれを取出し,ほかを捨てること。同じ語が捨てられる特性についていわれるとき捨象と訳される。スコラ哲学は抽象を重視,具体的な個物よりその類や種を引出すこと,質料より形相を切り離すことを抽象と考えた。ここで2つの操作を区別しなくてはならない。一つは一個の対象の本質などをとらえること,もう一つは一般者をとらえることで,後者にあっては一群の存在者の共通要素を帰納的に比較考量することが必要である。また意図的な論理的操作としての抽象のほかに,非意志的な抽象があり,E.スーリオは感情の抽象作用を認めた。抽象的とは具体的の対概念で,純粋に思惟的なもの,非直観的なものをいい,必ずしも抽象作用の結果とはかぎらない。
抽象化
抽象化(ちゅうしょうか、英: Abstraction、独: Abstraktion)とは、思考における手法のひとつで、対象から注目すべき要素を重点的に抜き出して他は捨て去る方法である[1]。反対に、ある要素を特に抜き出して、これを切り捨てる意味もあり、この用法については捨象(しゃしょう)という[1]。従って、抽象と捨象は盾の両面といえる。
抽象化(ちゅうしょうか、英: Abstraction)は、計算機科学において詳細を捨象し、一度に注目すべき概念を減らすことおよびその仕組みである。
この概念は数学における「抽象化」からのアナロジーである。数学での抽象化技法の起源は数学的定義である。例えば、コンピュータでも数学でも、数はプログラミング言語上の概念であり、数学上の概念でもある。数の計算概念は数学の概念に基づいているため、実装の詳細はハードウェアとソフトウェアに依存したとしても、それが制約とはならない。
大まかに言えば、抽象化は制御抽象化とデータ抽象化に分けられる。制御抽象化は動作の抽象化であり、データ抽象化はデータ構造の抽象化である。例えば、構造化プログラミングでの制御抽象化とは、サブプログラムや定式化された制御フローの使用を意味する。データ抽象化とは、本来ビット列であるデータを意味のある方法で扱うことを意味する。例えば、データ型の背景にある動機は抽象化である。オブジェクト指向プログラミングはデータとコードを同時に抽象化する試みと見ることもできる。
物事の中にある「たくさんの要素」の中から「特定の要素を選び出す」のが、「抽象」であり「抽象化」ということだと思います。
※ 「他の要素は捨てられる」というのがポイント。
私は子供の頃から「抽象的なことを言うな!」と叱られてきました。
「フワフワした、よくわからんこと。」というのが、世間一般の「抽象的」と言う言葉に対する印象なのかな?と思います。
伝わるかどうかはわからないのですが、私の中での「抽象化」に対するイメージはこんな感じです。
例えば、この写真。
※ オランダかな?
一見すると「カラフルで個性豊かな街並みの景色」に見えます。
でも、この景色を透視出来たらどうでしょう?
同じような構造の、個性のない建物が連なっているだけでしょう。
日本の分譲住宅地なんかも同じですね。
同じような間取りの、同じような外装の、同じような家が並んでいる。
いくらでも外装は変えることができますし、それで「個性」を演出することもできるでしょう。
でも、透かしてみたら「同じ構造の建物」がズラッと並んでいるだけ。
個人的には、なんでそんな建物に何千万(東京だったら億)も、お金を払い続けるのか理由がわかりません。
私は「抽象的」という言葉を「構造的」か「本質的」な言葉の同類であると思っています。
抽象表現主義
みなさんは「抽象主義」ってご存知ですか?
芸術表現の一形態のことなのですが
抽象表現主義(ちゅうしょうひょうげんしゅぎ、英: Abstract expressionism)は、1940年代後半のアメリカ合衆国で起こり、世界的に注目された美術の動向である。抽象表現主義という語は、1919年にワシリー・カンディンスキーの作品に記述されたのが初めてで、その後1946年にロバート・コーツが再採用したものである[1]。また抽象表現主義はハロルド・ローゼンバーグが「アクション・ペインティング」と命名しているものの総称としても使用される[2]。
と言うことです。
まぁ、芸術ってのは言葉だけじゃわからんので、実物見ていきましょう。
ワシリー・カンディンスキー
カンディンスキーは実に「音楽的」に感じます。
「抽象主義表現の創始者の一人」とされる人物。
ピート・モンドリアン
こちらも「抽象主義表現の創始者の一人」とされる人物。
ちなみに、私の大好きな「イームズ邸」の外観もモンドリアン風。
※ 「チャールズ&レイ」の「イームズ夫妻」もそのうち。
ジャクソン・ポロック
「抽象主義」の代表と言えば「ジャクソン・ポロック」と言われるぐらいには有名。
私はポロックが大好きです。
理屈抜きで好きです。
芸術は理屈じゃないのです。
「芸術は爆発だ!」なのだ。
それでいいのだ。
ちょっと横道に逸れまして。
「抽象主義」にまつわる話で、覚えておいたほうがいい知識もあります。
冷戦下のCIAの美術工作
抽象表現主義は、冷戦下の政治の力の側面支援を受けたとも見られている。
抽象表現主義は50年代前半、思想戦・情報戦の武器としてCIAの関心を引くところとなった。東側諸国との冷戦のさなか、CIAは抽象表現主義の美術家や批評家を援助し世界に広めることにより、アメリカには「思想の自由」と「表現の自由」があり、政治・軍事・経済だけでなく文化面でも大きな成果を成し遂げたという証明にできると考え、ソビエト連邦の芸術や文化の硬直性に対し有利に立てると考えた。
アメリカや主にヨーロッパを中心とした進歩的文化人など、世界中の文化人に対するソビエトの影響力は圧倒的で、アメリカは哲学や芸術の世界では常に悪役であり劣勢にあった。この劣勢に対し、CIAは美術も含めたアメリカの芸術の自由さと斬新さ、先端性をアピールすることで、文化人に対するソビエトの影響をそぎ、アメリカの影響を高めようとした。また西洋の芸術のモダニズムや前衛の成果や運動は、今やアメリカの美術界が引き継いだと証明するために、抽象表現主義とその理論が利用された。こうして抽象表現主義は、「冷戦下の文化戦争の尖兵」となることになる。
CIAがいかにしてアメリカの抽象表現主義を世界へ宣伝するために、「文化自由会議」(Congress for Cultural Freedom)を通じて1950年から1967年までの間、展覧会や美術批評活動に対し資金面や組織面で協力したかは、「The Cultural Cold War: The CIA and the World of Arts and Letters[4]」という本に詳しい。
もっとも各国での美術工作の効果はさまざまだった。自国の伝統の深さからアメリカの芸術や理論を受け入れなかった先進国や第三世界諸国も多かった反面、多くの国では、グリーンバーグ的フォーマリズムよりも、ローゼンバーグ的なアクションペインティングが受容された。また、アメリカの美術や美術理論が時として自国の体制や資本主義に対する批判も行っているという点は、アメリカには「抵抗の自由」もある、と文化人が抵抗のモデルをアメリカ芸術に求めることになり、多くの国の進歩的文化人が自国に対する批判としてアメリカ芸術を受容することにもなった。
こう言う一面もあるのでした。
※ 「水面下にあるCIAと文化の関係性」だけでも長く書けそうです。
で、話を戻しまして。
私が「どうやってポロックのことを知ったのか?」というと。
こちらがキッカケでした。
The Stone Roses / The Stone Roses
※ 超名盤。
「まんまじゃん!ポロックじゃん!」と思われた方?
これ「ポロック風」なだけなのです。
このバンドのギタリストである「ジョン・スクワイア」さんの作品です。
※ ギターとかベースを「ポロック風」にペイントしてました。
痺れましたねぇ、なんかよくわからんけど。
「こんなぐちゃぐちゃしてるだけなのに、なんで美しいって感じるのかな?」って。
Rosesと言うバンドはOasis登場以前のイギリスを代表するバンドでした。
※ ハウスとロックを融合させたパイオニア。マッドチェスター!
The Stone Roses / Fools Gold
www.youtube.com※ かっこよすぎ。
www.youtube.com※ 7:00ぐらいからのフリージャムセッション的展開が好きすぎる。
www.youtube.com※ 再結成後、初のリハーサル映像。4人が揃ってるだけで泣ける。
UKロックの話は止まらないので、この辺りでやめときます。
あと、一時期ヒップホップのサブジャンルとして「アブストラクト・ヒップホップ」というジャンルがありました。
音楽のジャンルなんて、専門誌が勝手に名付けて勝手に流行らせて、そしてそのうち誰もそんなジャンル分けは気にしなくなるので、もうあまり使われることもありません。
「トリップホップ」のこととか細かく言い出すとめんどくさいので、また別に書かせていただくかもしれません。(笑)
話を絵画における「抽象芸術」に戻します。
抽象芸術とは、現実世界における具体的な対象を写しとらず、形状、形態、色、線といった造形要素それ自体を使って構成される作品。現実という表層の下に隠れた世界の本質(骨組みや構造など)を表現することを目的としている。
【美術解説】抽象芸術「造形要素自体で構成される美術」 - Artpedia アートペディア / わかる、近代美術と現代美術 より
そうなのです。
「抽象」とは「現実という表層の下に隠れた世界の本質(骨組みや構造など)を表現する」ことなのです!
これが言いたかったのです。(笑)
そんなこんなを覚えておいていただきながら、「抽象度」に関する話も読んでいただけましたら幸いです。
「抽象度」という考え方を身につければ、「世界の本質を見抜く力」を身につけることができるようになると思うからです。
誰だって、身につけることができるのですから。
Fat Jon / Repaint Tomorrow
www.youtube.com※ 私の思う「アブストラクト・ヒップホップ」はこんなの。
また。
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